日常の一コマ~「9月のうた」と園庭

幼稚園を選ぶ理由は人それぞれ。杉並幼稚園を選んだ理由の一つに上がるのが、園庭です。この辺りは杉並区で特に自然が少ない地域。そんな高円寺阿佐谷とは思えない位、杉並幼稚園の園庭は自然がいっぱい。子どもたちの学びの種の一つにもなっています。

幼稚園では毎月クラスごとにその月の歌が4、5曲あります。月の歌は、自然や季節行事に関する歌が多いです。年少さんの「9月のうた」の中には秋の虫に関するものが2曲。「とんぼのめがね」と「こおろぎ」です。この歌からも子どもたちの興味アンテナがピピピ!

ある子は園庭遊びをしていて「ちろちろりん」が聞こえたそうです。「ちんちろりん」はこおろぎの鳴き声だと、「こおろぎ」の歌で知ったばかり。

「せんせい、ちろちろりんが聞こえたけど、こおろぎはどこにいるのかなぁ?なんでみえないのかなぁ」

「じゃあ、園庭の中をさがしてみようか!」

「うん!」

そう言って、こおろぎのいそうなところを一生懸命探します。でも年少さんにはなかなか見つけることができません。

「こおろぎいなかったね」

「うん…」

先生はこの時、ここにいるよ!と誘導せず、「残念だったね、また明日探そうね」ってお話したそうです。でもその子はなかなか諦めきれません。「どこだろうどこだろう」と探したそうです。そこに登場したのは年長さん。

「こおろぎ探してるの?いるところ知ってるよ!重し(土嚢)の下だよ、この前いたよ!」

どうやらコオロギは夜行性で、昼間は石の下や草の下など物陰に隠れている事が多いそう。その習性を知っていたのか、土嚢の下にいる事を見つけたようです。

土嚢の下なんて年少さんには見つけることができません。でも年長さんは知識と経験で探し出す事ができるんです。

「そうなんだ!ありがとう!」

「あとさ、他に鳴く虫って知ってる?スズムシ。スズムシはね、羽をこすり合わせて鳴くんだよ」

「へー!!」

こうして、虫好きの年長さんから、虫好きの年中さん、年少さんへ伝授されます。

ちょっと得意になる年長さんと、年長さんにあこがれる下の学年の子たち。「年長さんすごい!年長さんみたいになりたい!」下の学年の子にとって、年長さんは第2の先生です。年長さんも嬉しくなって、もっともっと知りたい、知って教えてあげたいとも思うでしょう。

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帰ってきたある子は、ママにお話ししました。

「こおろぎってどこにいるかしってる?おもたいふくろのしただよ!ちんちろりんってなくんだよー!」

「そうなんだ!そんなこと知っているなんてすごいね!」

さて、今日はどんな事を吸収して帰ってくるのかな、毎日がとても楽しみです。

杉並幼稚園の園庭には自然がたくさん。樹木が多く、虫がたくさんいます。だからなのか、虫や植物にとても詳しいです。「先生、この青虫は何の幼虫でしょう?」「この花は…?」と先生に聞いている保護者も。教室や廊下に生けてあるお花も多くが園庭から摘んだものです。

クチナシの木に住む「オオスカシバ」の幼虫。蛾ですが、成虫はとても可愛らしいです。目が慣れてくるとなん十匹も見つかることも